「地域猫活動」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。
しかし、地域猫活動の意味を知っている人は少ないのではないでしょうか。
のら猫にエサを与えることが地域猫活動ではありません。
のら猫を不妊手術(TNR)するだけでは地域猫活動とは言えません。
地域猫活動とTNR活動の違いを比べながら、説明していきます。
TNR(不妊手術)についてご存知ない方は、こちらの記事も参考にして下さい。
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地域猫活動とは
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地域猫活動は、元横浜市職員の黒澤泰氏が1995年に考案しました。
のら猫に関わる苦情は、どの自治体でもとても多いです。
地域猫活動の目的はのら猫の数をゼロにすることではありません。
「地域住民の猫トラブルゼロ」にすることが目標です。
しかし地域猫活動するために、やることはとても多いです。
- エサの管理(ほぼ毎日)
- フンの清掃(ほぼ毎日)
- 周辺美化(ほぼ毎日)
- 不妊手術の徹底(地域にいる猫すべて)
適正に飼育管理されていれば、猫の数は増えず、住民トラブルも大きくなりません。
猫が寿命を迎えることで、少しずつ猫の数が減っていきます。
地域住民が交代で、猫のお世話をしたり、周辺美化を行うことに理解をもらう必要があります。
ひとりだけで地域猫活動を行うことはできません。
このようなステップが必要です。
まずは、のら猫がいる周辺住民に「地域猫活動」というやり方があると説明します。
活動内容をわかってもらう事が大切です。
活動内容をわかってもらい、住民同士が猫の管理を協力しあいます。
住民同士の協力があれば、ご近所の猫トラブルを大幅に減らし、安定した長期的な猫の活動ができます。
しかし、住民や行政が協力的でない場合は、活動を始めるまでに時間がかかります。
地域猫活動は三者協働
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地域猫活動は、行政・ボランティア・地域住民が協力しあうことで成り立つ三者協働による活動です。
猫の適正な管理について、地域のボランティアさんや行政からアドバイスをもらえます。
そのため、地域猫活動で困ったことがあっても安心です。
行政、ボランティア、地域住民の役割について簡単に説明します。
行政
地域の活動を支援して、状況を把握します。
「地域住民の話し合いの場を作る」
「不妊手術助成金の活用」
ボランティア
経験のある団体や個人のボランティアが、地域猫活動のサポートを行います。
「エサの適正な与え方やフンの掃除の仕方を教える」
「不妊手術時の捕獲方法を教える」
地域住民
行政やボランティアのサポートを受けながら、地域住民が主体となって地域猫活動を行います。
「猫のお世話をする」
「猫の状況を把握する」
「エサ代や医療費を捻出する」
のら猫トラブルの原因とは?
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「地域住民の猫トラブルゼロ」を目指す地域猫活動は、なぜ必要なのでしょうか?
猫トラブルがなぜ起こるかわかれば、地域猫活動がなぜ必要かわかってきます。
すごく簡単に言えば、のら猫に無責任にエサを与えてしまうとトラブルが起きます。
昔の猫のエサに比べて、今のエサは低価格で栄養があります。
不妊手術をしないでエサを与えると、猫の繁殖力は爆発的です。
増えた猫は、糞尿の臭いや鳴き声などのご近所トラブルを起こします。
のら猫にエサあげたくなりますよね?
飢えた猫を見つけると、人はエサを与えたくなってしまうようです。
猫がエサを食べてくれると、人はうれしい気持ちになります。
単純に、動物がエサを食べている姿って楽しくないですか?
子供でもお年寄りでも同じだと思います。
人の本能的な行動と、猫の繁殖力の強さがトラブルの元凶です。
のら猫にエサを与えること自体は禁止されていません
街中にいるのら猫は法律上、愛玩動物とされるため、守られるべき存在です。
のら猫にエサを与えることを後ろめたく感じる方もいると思います。
しかし、エサを与えること自体は法律違反ではありません。
しかし、糞尿の掃除や不妊手術をしないで、無責任にエサだけ与えることをしてはいけません。
無責任にエサを与えてしまえば、猫が嫌われ者になってしまいます。
TNR活動との違いは?
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地域猫活動と似ている言葉として、TNR活動があります。
保護猫活動をしているボランティアさんでも、この2つを混同していることもあります。
どのような違いがあるか、見比べていきましょう。
TNR活動
活動内容:飼い主のいない猫に、不妊手術をして元いた場所へ戻す活動
目的:猫の繁殖力を抑えることが目的
効果:出産を減らすことによって、猫のトラブルを減らせる
特徴:行政や自治体と関わりがなくても、個人や動物愛護団体として活動できる(行政が関わるTNR活動もある)
長所:不妊手術だけなら早くできるので、猫のトラブルを早期に減らせる
短所:猫の管理についてルールがない場合、住民トラブルを解決できない場合がある
地域猫活動
活動内容:地域住民が主体となって、不妊手術やエサやり、フンの掃除などのルールを決めて管理する活動
目的:地域住民同士のトラブルを減らすことが目的
効果:不妊手術に加えて、猫を適正に管理することで、住民トラブルを減らせる
特徴:行政や自治体との関わりが必要
長所:猫の適正な管理について住民の理解があるため、長期的に安定した活動ができる
短所:住民の理解が必要であるため、実際の活動が開始できるまでに時間がかかる
TNR先行型地域猫活動
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地域猫活動は住民の理解がもらえるまで、長い時間がかかることがあります。
トイレやエサの管理などを、住民で分担する必要があるからです。
そのため、地域猫活動として地域住民が活動を始めるまでに、猫がより増えてしまうことがあります。
これに対して、財団法人どうぶつ基金は「TNR先行型地域猫」を提案しています。
猫が多い地域に対して、まずはTNR(のら猫の不妊手術)をして、猫の数が増えないようにします。
その後、時間をかけて地域住民同士が話し合い、地域猫活動へ移行していけばよい、という考え方です。
猫が嫌いな人に地域猫活動の理解をもらえるか?
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猫がすごく嫌いな人も一定割合います。
猫が近くにいるだけで嫌な気持ちになる人です。
そういう人に「地域に猫がいても良い」と思ってもらうのはとても難しいことです。
地域猫と言う制度を押し付けられたと思われる可能性もあります。
地域猫活動の目的は猫をゼロにすることではなく、トラブルをゼロにすることです。
不妊手術で猫は増えなくなりますが、地域猫活動ですぐに猫の数は減りません。
猫がいるだけで嫌だという人に、理解してもらうには根気強い説明が必要です。
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現在、各市区町村の保健所は、健康なのら猫や地域猫を捕獲して殺処分することはありません。
犬や猫の殺処分数を減らすために、収容される動物をなるべく減らしています。
また、猫を捕まえて別の場所に放してしまうことは、猫の遺棄となり法律違反です。
現状は、殺処分をせずに地域で猫を見守る仕組みが必要となります。
まとめ
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地域猫活動は、三者協働により実現されればとても素晴らしい制度です。
しかし、実現は簡単ではありません。
地域住民の理解が得られるか、近隣にスキルがあって協力的なボランティアがいるか、行政が地域猫活動に理解を示し協力的であるかなど、越えなければいけないハードルは高いです。
たくさんの人たちに理解してもらいながら進めていく必要あり、短時間で成り立つものではありません。
中には頑なに拒否する人もいるでしょう。
首都圏から離れた地方に行くほど、飼い猫の外飼いなのか、のら猫なのか区別がつかない猫も多くなります。
猫を大切に思い世話をしている人なら、ご近所トラブルで猫が悪者になってしまうことに心を痛めているはずです。
根気強く説明を続けることは大切です。
しかし、制度が始まるまでになにもせずにいると、猫が増えて問題が大きくなることがあります。
前述した財団法人どうぶつ基金が提唱する「TNR先行型地域猫」を行うことで、問題がこれ以上大きくなることを防ぐことができます。
地域によって、猫問題の解決方法は様々です。
地域の状況や協力者の人数によって、多様な解決方法を探していく必要があります。
より詳しく知りたい方はこちら
より詳しく地域猫活動について知りたくなった方は、こちらもご覧ください。